万が一、病気やけがなどで会社を休職することになったとき、お金のこと気になりませんか。「休職したら給料はどうなるの?」「給料が出ない場合はどうしたらいいの?」と不安になりますよね。

そんな不安を解消してくれるのが、健康保険からもらえる「傷病手当金」です。
給料のかわりにもらえる傷病手当金は、給料が出ないあなたの収入の支えになってくれます。
不安で休職なんてできないと思われている方は、傷病手当金の仕組みを徹底解説しますので、ぜひ最後まで目を通してみてください。
休職中の給料はどうなる?
給料が出るかどうかは会社の就業規則によります
休職中に給料が出るかどうか一番気になるところですよね。
それは、会社の就業規則※で決まっています。
ですが、ほとんどの会社では給料は出ません。給料が出る場合でも、期間が決まっていたり、全額でなかったりする場合があります。
まずは、会社の就業規則を確認してみましょう。
※就業規則とは・・・会社が従業員を雇う際に就業・労働に関する基準・ルールを定めたものです。
具体的には、労働時間、休憩時間、賃金、退職など働く上で必要となる事項です。
『ウィキペディア(Wikipedia)』より引用
また、休職を考えた時に年次有給休暇※がある場合は、まずは休職に入る前に使用することをオススメします。
就業規則で給料が出ないことがわかれば、少しでも給料が出ない期間を短くしておきましょう。
※年次有給休暇とは・・・労働者の休暇日のうち、使用者から賃金が支払われる有給の休暇日のことでです。
「年次」とある通り、1年ごとに毎年一定の日数が与えられています。
有給休暇、年次休暇、年休、有休などといわれることが多いです。
『ウィキペディア(Wikipedia)』より引用
給料が出ない場合は手当金や給付金がもらえます
万が一、給料が出ないと困りますよね。年次有給休暇も休職前に、すべて使ってしまったら、収入がまったくなくなってしまいます。
でも下記の条件に当てはまれば、健康保険や労災保険、雇用保険から手当金や給付金がもらえます。
■ 給料が出ないときにもらえる手当金&給付金一覧
・健康保険からもらえるもの
傷病手当金
業務外(通勤中または仕事中以外)で病気やけがをしたときにもらえる手当金
・労災保険からもらえるもの
休業(補償)給付金
業務上(通勤中または仕事中)で病気やけがをしたときにもらえる給付金
・雇用保険からもらえるもの
介護休業給付金
介護休業をしたときにもらえる給付金
休職中でも社会保険料&税金は支払が必要です
給料が出ない場合、条件によっては手当金や給付金がもらえますが、給料が出なくても、社会保険料(健康保険・介護保険・厚生年金保険料)や税金(住民税)については、免除されませんので、支払う必要があります。
給料が出ないのにどうして免除されないの?
給料が出ないのにどうして免除されないのかと思いますよね。その理由を説明します。
社会保険料(健康保険・介護保険・厚生年金保険料)について
社会保険料(健康保険・介護保険・厚生年金保険料)については、労使折半(事業主と従業員がそれぞれ半額ずつ保険料を負担)する必要があります。
なので、会社に籍がある限り(保険に加入している限り)、給料が出なくても免除されません※。
※参考:産前産後・育児休業の場合は免除あり
税金(住民税)について
住民税の支払いは5月で区切られますので、それまでは住民税を支払い続ける必要があるため、給料が出なくても免除されません。
雇用保険料&所得税については支払は発生しません
雇用保険料と所得税については、給料が出る時に、支払いが発生しますので、休職期間中に給料が発生しない限り、支払いは発生しません。
給料が出ないのにどうやって支払うの?支払うお金はどうするの?
Q1.でもどうやって支払うの?
社会保険料や税金については、会社が一旦立て替えるようになります。
会社によって異なりますが、給料から控除できない場合は、会社の指定口座に振込をする。
もしくは現金払い(今はほとんどないと思いますが。)で支払うことになります。
Q2.給料がでないのに支払うお金はどうするの?
給料が出ないわけですから、そもそも支払うお金がないですよね。
それを補填してくれるのが、上記でお伝えした手当金&給付金になります。
その中で、多くの方が利用されるのが、「傷病手当金」です。傷病手当金をもらって、その一部を支払いに充てることになります。
傷病手当金の仕組みを徹底解説!
給料がでない時にもらえる手当金・給付金のなかで、多くの方が利用されているのが、「傷病手当金」です。
今回は、傷病手当金に絞ってもらえる条件や金額について詳しく解説していきます。
そもそも傷病手当金て何?
傷病手当金とは、業務外(通勤中または仕事中以外)で病気やけがをしたときにもらえる手当金のことです。
- 参考例1)持病が悪化して手術が必要になり、入院する場合
- 参考例2)自宅の階段から足を滑らせて転倒し、骨折した場合
- 参考例3)うつ病を発症して仕事を休まなければならなくなった場合
上記の例などが該当します。
傷病手当金をもらうためには条件があります
傷病手当金は、次の(1)から(4)の条件をすべて満たしたときにもらえます。
⑴ 業務外(通勤中または仕事中以外)で病気やけがをして休むこと
健康保険証を使って受けた診療だけでなく、自費で診療を受けた場合でも、仕事に就くことができないことについての証明がある時はもらえます。
また、自宅療養の期間についても対象になります。
対象とならない場合)
- 通勤中または仕事中に病気やケガをした場合(労災保険からもらえる場合)
- 病気とみなされないもの(美容整形など)
⑵ 仕事に就くことができないこと
仕事に就くことができない状態の判定は、療養担当者(かかりつけ医等)の意見等を基に、仕事の内容を考えて判断されます。
⑶ 連続する3日間を含み4日以上仕事に就くことができないこと
仕事を休んだ日から連続して3日間※の後、4日目以降の仕事に就けなかった日に対して傷病手当金がもらえます。
※待期期間といいます。待期期間には、有給休暇、土日・祝日等の公休日も含まれます。
給与の支払いがあったかどうかは関係ありません。
また、就労時間中に仕事に就くことができない状態となった場合※には、その日を待期の初日として起算されます。
※持病が悪化して午後から早退する場合等は、待期の初日になります。
ただし、4日間経過する前に出勤して、再び午後から早退する場合は、待期期間がリセットされます。
「待期3日間」の考え方
待期3日間の考え方は会社を休んだ日が連続して3日間なければ成立しません。
連続して2日間会社を休んだ後、3日目に仕事を行った場合には、「待期3日間」は成立しません。

『協会けんぽHP』より引用
⑷休んだ期間について給料をもらっていないこと
給料をもらっている間は、傷病手当金はもらえません。給料をもらっていても、傷病手当金の額よりも少ない場合は、その差額がもらえます。
傷病手当金がもらえる期間は最長で1年6カ月です
傷病手当金がもらえる期間は、はじめてもらった日※から最長で1年6ヵ月です。
これは、1年6ヵ月分支給されるということではなく、1年6ヵ月の間に仕事に復帰した期間があり、その後再び同じ病気やけがにより仕事に就けなくなった場合でも、復帰期間も1年6ヵ月に算入されます。
支給開始後1年6ヵ月を超えた場合は、仕事に就くことができない場合であっても、傷病手当金はもらえません。
※はじめてもらった日(支給開始日)とは、待期期間が完成した日の翌日になります。
傷病手当金が振り込まれた日ではありませんのでご注意ください。

『協会けんぽHP』より引用
傷病手当金がもらえる1日あたりの金額
傷病手当金がもらえる1日あたりの金額は下記のとおりです。

『協会けんぽHP』より引用
少し難しいので、参考例を出して簡単に説明します。
参考例)毎月の給料が20万円とした場合(もらいはじめる日より前の12カ月間金額は同じ)
標準報酬月額は20万円になります。※平均額も同額
1日あたりの金額:20万円÷30日×2/3=4,447円となります。
傷病手当金の手続方法
傷病手当金をもらうためには、傷病手当金支給申請書※1を加入している医療保険者※2(協会けんぽや健康保険組合等)に提出する必要があります。
- ※1申請書はホームページからダウンロードするか医療保険者に問い合わせて入手する。
- ※2医療保険者を確認する場合は、お手持ちの健康保険証をご確認ください。
申請する時期(タイミング)
傷病手当金の申請時期ですが、療養担当者が仕事に就くことができなかった期間の証明と事業主がその期間に給料を支払っていなかったことの証明をする必要があるため、会社の給料の締め日によって異なります。(特に決まりはありません。)
参考にご確認ください。
例)10/1~11/10までの傷病手当金の申請をする場合で、会社の給料の締め日が月末、支払日が翌月10日だった場合
- 申請方法⑴10/1~10/31分を11月に申請して、残りの11/1~11/10分を12月に申請する
- 申請方法⑵10/1~11/10分をまとめて12月に申請する
※会社の給料が確定しないと事業主の証明ができません。(詳しくは会社に確認)
申請時に確認すること
- 療養担当者(かかりつけ医等)の意見書があること
- (申請書に直接記入してもらいます。※休職の診断書ではありませんのでご注意ください。)
- 事業主の証明があること(給料をもらっていない確認が必要なため)
- ケガで休む場合は、負傷原因届の添付があること
- その他記入もれがないこと
※療養担当者の意見書と事業主の証明はどちらが先でも構いません。
※提出は原則本人がおこないます。
傷病手当金がもらえるまで申請してどのくらいかかる?
傷病手当金を申請してからもらえるまでの期間ですが、申請内容に不備等がなければおよそ2週間程度で入金されます。当然不備等があれば時間がかかります。
支給額が決定しましたら、医療保険者から支給決定通知書が届きますので、入金日や金額の確認ができます。
※個人情報の関係で、医療保険者に電話で入金日や金額を問い合わせしても、回答してもらえませんので、支給決定通知書が届くまでは待ちましょう。
万が一退職になった場合傷病手当金はもらえる?
休職はしたものの、復職することができず会社の就業規則の規定で退職することになった場合、傷病手当金がもらえるかどうかですが、下記の条件を満たしていれば、退職後も引き続きもらうことができます。
- 退職日までに健康保険の加入期間が継続して1年以上あること
- 退職日に、傷病手当金を受けているか、受けられる状態※であること
※受けれられる状態とは上記で説明した傷病手当金をもらうための条件⑴~⑷のうち、⑴~⑶を満たしている場合のことをいいます。
ただし、一旦仕事に就くことができる状態になった場合、その後更に仕事に就くことができない状態になっても、傷病手当金は支給されません。

※資格喪失日とは、退職日の翌日のことです。
『協会けんぽHP』より引用
傷病手当金は満額受け取れない場合があります
傷病手当金は、下記の条件によってはもらえなかったり、一部調整して満額受け取れない場合がありますので注意が必要です。
- 傷病手当金と出産手当金が受けられるとき
- 資格喪失後に老齢(退職)年金が受けられるとき
- 障害厚生年金または障害手当金が受けられるとき
- 労災保険から休業補償給付を受けていた(受けている)場合
まとめ
会社の就業規則によりますが、休職期間中は給料は出ないことが多いと思いますが、かわりにもらえる手当金や給付金があります。
そのなかでも、傷病手当金は多くの方が利用されています。
病気やけがで休職することになった場合は、傷病手当金について理解したうえで、上手に利用してお金の不安を解消しましょう。

なお、詳細につきましては協会けんぽのホームページでご確認ください。
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